■『火垂るの墓』は節子を死なせた犯人を探す倒叙ミステリーだ!
公開当時は、宮崎駿監督の『となりのトトロ』と同時上映になったため、トラウマ力も跳ね上がりました。トトロや猫バスに夢中になった後、全身ヤケドで包帯ぐるぐる巻き、 ウジの湧いた母親を遺体の山に放り込む光景を見せられたお子様は、心に素敵なサムシングが残ったかもしれません。
そういうトラウマ語りを始めてから、今年で28年目。そろそろ違った見方をしませんか?
冒頭であっけない死を遂げる、主人公で戦災孤児の清太。その霊は時間をさかのぼり、妹の節子が享年4歳で死ぬまでの時間を繰り返します。 初めに結末が明かされ、「どうしてそうなったか」を追っていくーーこれは最初に犯人を明かしてから、刑事が真相を突き止める『刑事コロンボ』のような倒叙ミステリーと同じ構造です。
『火垂るの墓』は、こう言い換えられるのではないでしょうか。「誰が節子を死なせたのか?」事件であると。
■被疑者その一:西宮の叔母さん
実際、まいど『火垂るの墓』の放映直後にネットで盛り上がるのが「節子を死なせた真犯人探し」です。直接の原因は栄養失調として、なぜ、誰のせいでそうなったのか。 初めて見たビギナーが真っ先に指差すのは、兄妹二人を引き取った西宮の叔母さんでしょう。
清太が持ってきた食糧を取り上げ、母の形見である着物と物々交換でもらったコメもピンハネ。自分の娘や下宿人にはおにぎりを持たせるのに兄妹には水のような雑炊だけ、清太が家を出ていくときも「せっちゃん(節子)サイナラ」のひとこと。お前かー!
さらに二回目を見ると、印象がガラリと変わるはず。おばさんは未亡人で、下宿人を住ませてるのも家計の助けにするため。清太は地元の学校に誘われても行こうとせず、防火活動(空襲による火災を消すため)もサボりも、コメなどの配給の対価になる働きもまるでなし。叔母さんのピンハネも「養育費」や「家賃」と捉えれば頷けます。
アニメ版が恐ろしいのは、原作小説にあった叔母のイジメが削除され、まっとうな正論しか残っていないこと。清太が叔母との食卓を拒んで自炊を始めた時に「まるであてつけやん」というのは単なる事実で、陰口ではなく大声で聞こえるように言ってるのは「謝ったら許す」サインでもあります。叔母さんはシロだ!
■「不誠実な語り手」である清太
次に疑惑の目を向けられるのが、節子をお兄ちゃんらしく世話する清太です。海軍軍人の父を持ち、戦火が激しくなる前の海水浴で「カルピスも冷えてるよ」と優しい母に呼ばれた家族旅行の思い出。
今の基準では平均的な庶民像にすぎず、現代の僕らが感情移入しやすい少年です。モノが豊かにあって当たり前、可愛い妹との時間が大事といった価値観も近い。
そうした「現代人と同じ目線」がくせ者です。互いに協力しつつ監視しあう隣組の不自由さ、オルガンで『鯉のぼり』を弾いた程度で小言を言われる鬱陶しさ。 それは「そういう時代」だったからで、特に兄妹二人がだけに厳しいわけではなかった。
ことさら残酷に見えるのは、清太が推理小説でいう「不誠実な語り手」だからでしょう。隣組だって「電話がある家は金持ち」という時代の連絡網であり、社会福祉が整備されてない中での相互扶助という面もあり、一応の合理性があった。 それを無視する清太の行いは、「社会は無価値だ」と言ってるのに等しい。妹が大事なあまり、世間のルールを不当にディスっているわけです。
http://a.excite.co.jp/News/reviewmov/20150814/E1439484078731.html
■清太の甘さを暴く高畑監督のリアリズム
高畑監督のスゴさは、清太も当時の社会も、平等に描いていること。ドラマの中心にいる兄妹の生活と同じ密度で、周囲の人々や街に関する情報量を詰め込んでいます。 背景美術のこだわりも半端じゃなく、土手に生えてる草も一本一本描かれ、種類が特定できてしまうほど。
空襲シーンでB29がどちらからやって来るかを調べあげてから、清太の顔の向きを決める(『宮崎駿が企てた「火垂るの墓」クーデター計画』より)高畑監督の完璧主義。そりゃあ『かぐや姫の物語』を作るのも、8年かかりますよ!
高畑監督のカメラは「不誠実な語り手」である清太の甘さを容赦なく暴いています。人が引っ越した池の横穴も(昔は実在)、「ここが台所、こっちが玄関」という節子のはしゃぎ方が逆に痛々しい、害虫が群れて不快そうな水辺のリアリズム。
二人の皮膚に広がる疥癬も悪化していき、命のカウントダウンを刻んでいます。 節子も喜ぶ二人きりの自炊、リヤカーに家財道具を積んで横穴に引っ越し。清太が妹のために下した決断の一つ一つが、死へと追いやっていく切なさ。
それは愚かな行いですが、美しくもある。節子の最期の言葉は「兄ちゃん、おおきに」でした。現実世界の肉体は衰弱しつつも、兄がいて「家族」でいられることに心は満たされていた。でも、 なけなしのカネで買ってきたのがスイカ(もっとコメが買えるでしょうに)という清太の浮世離れは治らないまま。「真犯人は家族愛」という叙述トリックなのです。
以下ソース
火垂るの墓って犯人探しするようなアニメだっけか 月並みだけど悪いのは戦争だろ
西宮の叔母さんを主役にした実写ドラマがあった気がするけどどうだったかな この記事みたいな感じだったかな
実話を基にしたとかいうけど実際の野坂兄弟は戦争で死んでなかったよな?
当時高畑監督自身が「清太は現代の少年」と言い切ってるのを覚えている人は多いだろう
これ実話なのか
>>23
体験を基に書かれてるが違う。
実際の妹はまだ1歳4カ月、喋れなかった。
高校生の時見せられたな。
あの状況をにした当時の日本政府を除くなら、間違いなく兄貴だろう。
当時そう感想文に書いたら、ボロクソに言われたわw
死んだ節子が悪い
内容はともかくなんか頭の悪そうな文章だなあ
引用元: http://anago.2ch.sc/test/read.cgi/moeplus/1439554469/
nou@まにゅそく おーぷん・2ちゃんまとめ .QFsZsQM
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